設立主旨書

最近テレビでは様々な形でジャグリングが紹介され、各地でジャグリングによる大道芸も良く見られるようになりました。デパート等でもジャグリングの道具が売られています。ジャグリングという言葉自体が珍しかった10年前を思うと、夢のようなスピードでジャグリングはその普及の領域を広げてきました。

ジャグリングはもともと「物体を次々に投げあげる曲芸」と言う意味です。その意味では歴史は非常に古く、3000年前のエジプトの壁画にもジャグリングをする女性の絵が描かれています。日本でも昔から「お手玉」と言う名前で、子供の玩具特に女の子の遊びとしてジャグリングは存在しました。その後、色々な道具や技が開発され、今では「物体を技術をもってあやつる曲芸」といった広い意味で扱われています。その意味では日本古来の剣玉や、ヨーヨーなどもジャグリングの範疇に入るでしょう。それでは、ジャグリングはプロが行う曲芸なのでしょうか。はたまた子供のおもちゃなのでしょうか。答えは違います。

ジャグリングの完成された技は非常に美しいものです。3つのボールだけでも、すぐできるものから練習に何年もかかるものまで無限に多くの技があります。ジャグリングは、物を使って自らを表現する芸術です。また、ジャグリングは、非常に激しい運動です。真冬でも半そでで練習しているジャグラーがほとんどでしょう。場所を選ばないスポーツです。また、ジャグリングをするには練習を続ける根気、そして技を行うにあたっての集中力が要求されます。体を動かすことによってそれらの精神力を鍛えるという側面から、多くの国でジャグリングは教育にも採り入れられています。

単純に見て楽しい,して楽しいというレベルを超えて、ジャグリングは世界中に普及しました。底辺の広がりと共に、数々のスーパー・スターも生まれました。しかし、現在の日本において、ジャグリングのレベル、ジャグリングの普及度、そして社会的な認知度は欧米各国のそれと比べて非常に低いといわざるを得ません。

今までは、ジャグリングを実際にするには、たまたまジャグリングをすることのできる人と出会ったり、ジャグリングクラブなどに参加する機会に恵まれる、若しくは海外より教材を取り寄せて学ぶという方法しかありませんでした。マニュアルも整備されておらず、多くの人がジャグリングを面白そうだと思っても、何をすれば良いのかも分からずに断念することも多かったでしょう。また、個人・クラブの連携も薄く、技の名前や教え方などは混乱しています。発表の場も、大道芸やサークルの発表会といった特殊なものに限られています。往々にして1人で練習することの多いジャグリングですが、多くの志を同じくする者の切磋琢磨の環境は全く整っていません。何より、ジャグリングの愛好者がジャグリングについて語り合う場さえも非常に少ないのが現状でしょう。

日本ジャグリング協会は、このような現状を踏まえて、より健全なジャグリングの普及と振興を図るべく設立されます。ジャグリングを愛するものが、ジャグリングの発展のために色々な形で力を出し合える場を提供します。具体的には、ワークショップやフェスティバルの開催、認定制度の実施、機関紙の発行、インターネットでの活動、コンテストや競技会の催行、教材の開発、クラブ設立の支援等を手がけます。

欧米を中心に、世界の各国にはそれぞれ非営利団体として法人格を持ったジャグリングの協会があります。それらの団体とより深く交流し、情報交換をすること、また団体として活動範囲を広げ、ジャグリングの社会的な認知を目指すために、特定非営利活動法人格取得を申請することに致しました。

このような目的のもと、より多くのジャグリングの楽しさを共有する方に会員になっていただきたいと思います。そして、会員の皆様のご指導、ご支援により、日本のジャグリング界が更なる発展を遂げることを希望します。

平成11年9月5日
日本ジャグリング協会
代表者 氏名  中嶋潤一郎